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【KOEOTO】田中英行

❖音声連と音声制作業界

─ 音声連へ加盟されて25年になりますが、加盟された当時のことをお聞かせください。

音声連には、AUDIO・タナカを作った次の年(1991年)に入れていただきましたが、もう25年たちますか。当時は制作受注がバッと増えてきて、音声連に入らないと登録ができないなと思ったんです。そのとき音響映像システムさんが加盟会社だったので、社長の小野哲男さんにお世話になっていた縁で推薦していただきました。
音声連に加盟した頃がちょうど仕事のピークと言うか、すごく忙しい時期でしたね。アニメの他にもスクエア・エニックスさんやコナミさん、ソニー・コンピュータエンタテインメントさんなどゲーム会社からも仕事がきていました。そこでもアニメの音響制作で培ってきた手法、台本の作り方などを全てレクチャーして、良い役者をボンボン、キャスティングしていきました。
当時はとにかく仕事が多くて、無我夢中で仕事をしていました。だから音声連さんから会議と言われてもあまり出席する時間がありませんでした。アニメのレギュラーの他にゲームと、CDドラマもあって…週に4本アフダブ(アフレコとダビング)をしていました。
だいたい仕事は夜6時に終わってそこから朝6時まで酒呑んで、3時間寝てまた仕事するというような調子でした。10時にスタジオに行って、まずダビングをやるわけです。ダビングをしっかり観て、効果と音楽の直しをして、ちょっと横になって「ラステス(最終テスト)お願いね」と言って、また本番になったら眼が開くわけです。で、しっかり観て「はいOK!」って出して…その繰り返しでしたね。よく保ちましたね。作品に合う役者をキャスティングしてますから毎日会う役者が違うわけですよ。だから毎日呑む連中が違うんです(笑)。
キャスティングに関しては、色々な立場の人が希望や提案を言ってきますが、その中からしっかりした芝居をしてくれる人ばかりを集めます。だから1回観てすぐ本番に行けるんです。一時はタナカ組なんて言われてました。レギュラー番組の時には、いきなり本番でいくときもありましたね、「いくぞー」って。みんなすごく緊張するんですけど、良い作品になったりもするんですよ。

─ 長い間、音声制作業界へ貢献いただき、このたび音声連の名誉会員になられました。業界を担う次の世代の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

最近の作品などを見ていると、もう少しキャスティングに気を使ってもいいのではないかと思います。アニメの場合、そこにいるキャラクターそのものの声を作るということですから。女の子ばかり出る作品などは、声の質で選んでいかないと誰がしゃべっているかわからなくなってしまいます。どうしても今は、かわいい子を使いたがる風潮があります。かわいい声をしていて、かわいい顔をしていれば良いという世界になってきたので、まあ演技ができなくても、イメージに合えば良いという感じでやっているようですね。これでは先が続かないんじゃないかと思います。
最近は雇われディレクターとしての仕事もしていて思うのですが、あっちこっちスタジオがありますね。それも決して大きくないスタジオが増えているようです。ひとりずつぐらいした録れないような大きさの。スタジオが大きくなくちゃいけないというのではないですが、こんな環境ではますます声優さんのスキルが必要になりますし、キャスティングする側も、よりしっかりしなくちゃいけないなと感じています。その点を若い人にも期待したいです。

田中英行さん

その他に最近思うことなんですけど、中国から日本に制作に来る会社が増えてきていますね。日本の会社と合併して、技術を持っていこうと考えられているのかな。この間もうちに相談に来ましたけれど、日本の制作技術が優秀だからということで来るんですね。役者さんも良い人を使ってくれるから、と。でも予算を聞くと「とてもじゃないけど出来ません」というのがありますね。こういったことに今後どう対応していくのかを考えていくことも大切だと思います。
名誉会員になったからといって特別なことはできないと思っています。でもなった以上は、業界のためにも死ぬまでがんばろうと思っています。

─ 役者さんたちとの関わりも多い中で、業界の発展、活性化のために今後ともご助力いただければと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました。

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田中英行 田中英行
(たなか ひでゆき)

1942年生まれ、北海道出身。 アニメーション音響監督。 株式会社 AUDIO・タナカ 代表取締役社長。当連盟名誉会員。 1964年、番町スタジオにアルバイトで入り、1966年入社。選曲・ミキサーを経て音響監督に。1990年 株式会社 AUDIO・タナカを設立。以後、音響監督として数多くのアニメーションを手掛ける。また1988年よりシグマ・セブンで教鞭をとり、多くの役者を育てる。

○主な作品○
【アニメーション】
『新世紀エヴァンゲリオン』『少女革命ウテナ』『爆走兄弟レッツ&ゴー』『機動戦艦ナデシコ』『アキハバラ電脳組』『セイバーマリオネット』『怪傑蒸気探偵団』『スーパービーダマン』『ボーイズビー』『ラブひな』 他多数。

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